雨音の周波数
 その日は着たくもないシフォンのワンピースを着て、新品のハイヒールを履きました。履き慣れていない靴のせいで靴擦れを起こしてしまいました。

 失恋の痛みと、足の痛みを必死にこらえて笑顔を作っていました。

 やっと披露宴が終わり、心も体もボロボロで駅へ向かう私に声を掛けてくれた人がいたんです。

 結婚した先輩の同僚の人でした。部署が違ったのであまり面識はありませんでしたが、丁寧に人に接する人だなと思っていました。

 その彼が言った一言で堪えていた涙があふれ出しました。

「足、辛いんじゃない? 辛いときに一人でいるのはきついでしょ」

 彼は足のことを言っていたのに、失恋した私への言葉に聞こえたんです。

 涙を流す私に「そんなに痛いなら、無理せずに途中で抜ければよかったのに。もう大丈夫、ほら帰ろう」と彼は言って、私が持っていた引き出物の入った紙袋を持ってくれました。

 それから話す機会が増え、付き合うようになり、今は私の旦那さんです。

 旦那さんにいつから私のことが好きだったのか、付き合っていたころに何度も聞いたのですが教えてくれませんでした。いつか教えてくれたらいいなと、今でも密かに思っています。

 長いメールになってしまい申し訳ありません。この話が選ばれるかどうかはわかりませんが、ラジオドラマとても楽しみにしています〉

< 35 / 79 >

この作品をシェア

pagetop