兄妹愛‐kayane and kazune‐
急に寒くなってセーターの袖を指が隠れるまで伸ばした。
「あっれー?茅音ちゃん?」
………うわー。
なんで本当に会っちゃうかな?
「うーん…もうすっかり秋だなー…。」
頭の上から降ってきた言葉に気付かない振りをして、
フェンスまで移動した。
「ちょっとさー、シカトすんなよー。」
「今は駿君に付き合ってられるテンションじゃないんですー。」
「気付いてんじゃん。いつもはあんまりさぼらない茅音ちゃんが、今日はどうしたのー?」
相変わらずなサボり魔の駿君はやっぱり屋上にいた。
最近授業ちゃんと出席してたはずなのに…。
「……駿君こそ、どうしたの?」
「んー、今日は好きな女の子がテンション低くてさー。ここに来るかなーって。」
来てないじゃん。
に、しても。
駿君って好きな人いたんだ。
初耳…。
とうっ!
って馬鹿みたいなこと言って
降りてきた駿君。
そしてあたしの隣にきて
一緒にフェンスの外を見ていた。