眠れぬ森の美女
2章
*嵐
「それにしても、こんなに天気が荒れるとはね…。」
ルイくんはそう言って、窓の外を眺めている。
外は雨が降っているだけではなく、少しずつ風も強くなり、雷もゴロゴロと空を割くように鳴り響いている。
正直雷は苦手。
いつからか分からないけれど、雷の音を聞く度、頭がズキズキして痛くなるから。
まるで何か大切なことを忘れているような、そんな気がしてならない。
「…ところで、皆がいない理由だけど…。」
…ゴロゴロゴロ…ピカッ!……ドカーン!!
私が口を開いた途端、眩しいほどの光に身を包まれると同時に建物がガタガタと揺れ、突然の闇が訪れた。
…近くに雷が落ちたみたい。
真っ黒で何も見えない。
……ルイくんはどこ?
冷静に考えているつもりなのに、体は正直みたで、手が震えて止まらない。
「…ルイくん?どこにいるの?」
私の声が部屋に響くだけで、ルイくんの返事は返ってこない。
「…ルイくん!!」
水面を打つように私の声が部屋中に響き渡る。
「…ねぇ、凛音さんはあるお屋敷で起きた殺人事件のことを知ってる…?」
少しするとルイくんの声がした。
突然のルイくんの声に驚きを感じつつも
…お屋敷で起きた殺人事件。
何故かこの言葉が胸に刺さって、言葉がうまく出てこなかった。