love square~四角関係なオトナ達~
「美櫻は残された時間の中、これだけはと私に頼んだことが1つありました。骨髄提供者、ドナーを見つけて、と。一言、お礼が言いたかった、と。本当なら自分から“ありがとう”を伝えたいけれども、そんな時間も力も残ってやしないのは本人もわかっていて。   美櫻の死後、私は弁護士という立場を利用し、法をくぐってありとあらゆる手段を使い、ドナーを見つける日々に明け暮れた。やっと見つけた美櫻のドナーが…社長だったんです」


「そう、だったんだ…」


「何年という月日をかけて、やっと見つけられた。私は早速、美櫻の言葉を伝えにこの地へ来た。でも、社長は美櫻の言葉を受け取ってはくれなかった。『結局、助けにならなかった』と。『すまなかった』そう言葉をくれたんです」


「パパ…」
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