love square~四角関係なオトナ達~
春流はキスとは関係ない話ばかりしておどけて見せる。


「それで、犬は2匹。2年後に赤ちゃん。ど?」


「うん…」


「なんだよ~、もう。全然ボクの話聞いてないじゃん」


「えっ…?あ、うん、猫好きだよ」


「ネ・コじゃなくて、イ・ヌ!そんなに琉偉が心配?」


「全然ッ」


「うわっ、すごくわかりやすい嘘しかつけないんだ~。ふーん…今のトコロ、ポイントは琉偉にアリか」


「そんなんじゃなくてっ。あたしの、その…歓迎会って名目だったし…」


「飲めないのわかってて自分で飲んだんだからいーの。なんだよ~、二日酔いでそんなに心配してもらえるんだったら、ボク、今晩ガンガン飲んじゃおー」


「もうっ。春流ッ」


「ハハッ!ぴぃちゃんて、からかってもカワイイねっ♪さて!今日も張り切って仕事しますかっ」


春流が柔らかそうな茶色い髪を風に揺らして笑うから。


さっきの工藤とのキス…なんだか罪悪感にも似た感情が沸き上がる。


そんなあたしを知ってか知らずか、春流はサクサク仕事をこなしていく。


今日はビニールハウスにあるかぼちゃの苗の畑への植えかえ作業。


一生懸命動いてるわりに、でめんさんのおばちゃん方にも全然追いつけないノロさ。


作業は単純なのに、ちっとも戦力にならない自分に呆れてしまう。


「おーい、ぴぃちゃん!そんなに飛ばさなくても苗は逃げないよ~」なんて春流は言ってくれるけど、あたしにだって意地がある。


できる仕事なら頑張らなきゃ、って。


ハイヒールでアスファルトの上しか歩いてなかった足が土に取られるけど、それでも弱音を吐かずに午前中を乗り切ることができた。
< 70 / 240 >

この作品をシェア

pagetop