love square~四角関係なオトナ達~
石畳を走り、人気のない工場の影に隠れて膝を抱えてうずくまる。


涙でレンズを通した世界がぼやけてくすんでいく。


心もぼやけて、もう何もかもがわからない。


工藤なら信じてみても、なんて思ってた。


冷酷でイジワルだったり、事務的な口調で寄せつけない雰囲気をまとっていても黒ブチのメガネの奥は、いつでも優しかった。


真っ直ぐあたしを見つめてくれるあの瞳に偽りなんてないんだ、って。


そんな風に思い込んでた自分がバカみたいで、惨めで、何より悔しい…!


あたしがここの娘だからチヤホヤして、あわよくば会社を、ってそう思われてただけで。


工藤のあの唇には真実なんてなかった。


あんなに温かかったのに…キスも…心も。


こんなに冷たい涙、ヤだよ…。


春流…。


春流ならきっと、あたしを優しいぬくもりで包んでくれるよ、ね…?


あたしは流れる涙を拭いもせず走る。


工場の裏手から畑に回る近道を横切ろうとしたところ、
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