溺れる恋は藁をも掴む
 初めてのセックスは無我夢中なんだよな…

 人に聞いた体験談や、そういうシーンが出てくる映画を見よう見真似でさ……
エロ本なんかが参考書のようなもん。

 緊張と焦りの繰り返しが続き、好きな女との肌の触れ合いだけで、イキそうになった。

 百合を気持ち良くしてやるなんてテクニックは、持ち合わせてないわけで……

 ぎこちないセックスだったはずなのに、百合はソレに応えてくれたんだ。


 初めての女が百合で良かった。


 百合と結ばれた時、ジワジワと愛しさが身体中を巡った。


 セックスを覚えたらタチ悪くなるよな…

 一緒に居るとしたくなって、押し倒したくなる。


 でも、百合と約束したんだ。

 「大学に受かるまではお預け。
 全神経を受験に集中する事。
 それが出来ないなら、晶君とはもう会わない。
 大事な晶君を駄目にしたくないから。
 あなたのお母さんを悲しませたくないの…」

 なんて言い出す百合。



 「分かった。
なら、百合も約束して!

 大学は絶対受かる。
受かったら、バイトでもして金を貯める。

 百合とフェアな付き合いがしたい。

 だから‥‥
その時が来たら、店を辞めて。

 高卒認定試験が受かれば、百合だって、水商売しなくても選択肢が広がるでしょ?

 百合が仕事でも他の男と一緒に居るの、イヤなんだ!
 百合、俺を好きになって!」

 いきがったガキの台詞だよな……

 今思えば…

 
 「‥‥‥うん。
分かったよ」



 そう応えてくれた百合に安心したんだ。

 18歳の童貞卒業したばかりのガキの独占欲。



 笑っちゃうよな…
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