これを『運命の恋』と呼ばないで!
何だか先輩は機嫌がいい。
理由は何か知らないけれど、叱られないならラッキーだ。



何処へ行く?と話を始めた時だった。



「ねぇ、空君」


聞き慣れた汐見先輩の声がして振り向いた。

オフィス内では滅多と見ることのできないワンピース姿で現れた彼女は、キュッと鬼先輩のスーツの肘を摘んだ。


「ちょっと、昼間の続きが聞きたいんだけど……」


いいわよね…と無言の眼差しがこっちに向けられる。


「あ…あの、私、友達と約束があるのを忘れてました!すみません。これで失礼します!」


ぺこんと頭をチョイ下げして走り出す。


「バカ山!転ぶなよ!」

「大丈夫でーす!」


一瞬振り向いて胸が鳴った。


青空先輩と並ぶ汐見先輩の姿がお似合い過ぎて、


(ああ。そうか。二人の関係ってそういうのなんだ)


……と、勝手に判断してしまった。



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