俺様彼氏はShy Boy?


「……ゴメン」


小さかったけれど、確かに聞こえた“無理”って言葉。


「なんで……」


あたしの声は震えていた。


「ねえ!」


鼻の奥がツーンとして、目頭が熱くなる。


「ゴメン」


今度ははっきりと聞こえた謝罪の言葉。


聞きたいのは、そんな言葉じゃないのに。

あたしに背中を向けてしまった海斗の後ろ姿をただ見つめることしか出来なかった。


だって。

暗闇の中でも、これだけの至近距離ならわかる。

海斗の身体が、微かに震えていたから。


「……泣くな」


切ない声が聞こえて。

後ろ手に不意に繋がれる手。

その手はやっぱり、少しだけ震えていた。


その震えにどんな意味があるのか。

今、海斗は何を考えているのか。


暗闇の中の海斗の背中だけでは何もわからなくて、不安で押しつぶされそうになる。



……海斗。

あたしのこと、嫌い?


込み上げる涙を堪えて。

握られていないほうの手で口許を押さえる。


こんなに近くにいるのに……

初めて一夜を共にするのに……


こんなにも切なくて、こんなにも遠くに感じる。


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