俺様彼氏はShy Boy?
「あ、もう時間やばくない!!」
心配をかけたくなくて、無駄に明るい声でケータイで時間を確認するあたしを。
未来だけじゃなくミッチャンも不審そうに見ていたけれど。
そんな2人の視線は見てみぬフリをしていた。
いつもどおり。
鼻歌を歌いながらお弁当箱を片付けて、何もなかったように振舞う。
「早く、教室に戻ろう?」
そう言って立ち上がり、スカートをパンパンと払って身なりを整えた。
まだ何か言いたそうな未来にチクチクと胸は痛んで。
みんなに見えないようにこっそりと握った拳。
校内で海斗と美佳が一緒にいるのはよく見る光景だけど。
当たり前のように海斗の隣を陣取っている美佳にいい気はしない。
あたしと違って美人でスタイル抜群で大人っぽくて。
そんな彼女が海斗の隣に並ぶと、美男美女、お似合いすぎて嫉妬してしまう。
「行こっか」
非常階段のほうを気にしないように背を向けて。
未来たちに笑顔を向けた。
自分ではいつも通り笑っているつもりでいたのに。
その笑顔は不自然に歪んで不恰好で。
そんなあたしを見て、未来は小さな溜息を吐いていたことに気がつくことはなかった。