俺様彼氏はShy Boy?
恐る恐る、玄関へと足を踏み入れる。
『二階の左の部屋が俺の部屋』
階段上を指差して、先に行っててと優しい声色で言うから。
思わず『うん…』と素直に頷いてしまう。
海斗は一人廊下の奥へと歩いていってしまって。
あたしはゆっくりと、なぜか足音を立てないように慎重に階段を上っていった。
そして言われたとおりに、左側にある部屋の前に立ち。
ドアノブに触れそうな位置まで伸ばした手をピタリと止めた。
本当に、これでいいのだろうか。
あたしの頭の中で葛藤が渦巻く。
勢いに流されて来ちゃったけど……
女癖が悪いって有名な海斗だもん。
部屋に入ったら最後……だよね?
海斗の周りにいるような軽い女だって思われる?
遊びの女になっちゃう?
温かみのある木目調のドアを見つめたまま固まって。
頭の中はもうグチャグチャで。
逃げるなら今しか…――
『入らないの?』
いろいろ考えすぎてたせいか、海斗が階段を上がってきたことにまったく気がつかなかった。
振り向くとすぐ後ろには海斗の姿。
手にはプレートの上に苺がのったケーキが2つ。
『開けてくんない?』
手が塞がってるから、とドアを顎で指しながら言う海斗があまりにも自然で。
『う、うん』
素直にドアを開けている自分がいた。