俺様彼氏はShy Boy?


『あ、の……』

『ケーキ、食べる?』


テーブルに置かれた苺のケーキを差し出す。

でも、視線を逸らしてはくれない。

何分? 何秒?

きっと時間にしたらほんの少しの時間。

でも、見つめ合ったままの状態に。

緊張して息の仕方を忘れてしまいそうになる。

引きつったままのあたしの顔を見て、フッと笑って視線を逸らしたのは海斗が先で。


『このケーキ、母親の手作り。いらないって言ってもこうやって毎年作るんだ』


迷惑、と息を吐く彼だけど、その瞳はどこか優しい。


綺麗にデコレーションされたケーキを見つめて。

このケーキを作った海斗のお母さんは、きっと素敵な人なんだと思う。

迷惑なんて言って、そのケーキを食べる海斗は優しい人なんだと思う。


『……嘘じゃなかったんだ』

『何が?』

『…うん、誕生日って嘘じゃなかったんだなって思って』


思わず出てしまった言葉。


『何? 嘘だと思った?』

『……女の子を連れ込む口実かと』


そこまで言って、慌てて口許を押さえたけれど遅かった。


『ふーん』


しっかりと聞こえてしまったらしく、持っていたフォークを置いて。

あたしを真っ直ぐ見据える。

少し冷めた瞳。

雰囲気ががらりと変わってしまったことに戸惑う。


< 19 / 479 >

この作品をシェア

pagetop