俺様彼氏はShy Boy?
『あ、の……』
『ケーキ、食べる?』
テーブルに置かれた苺のケーキを差し出す。
でも、視線を逸らしてはくれない。
何分? 何秒?
きっと時間にしたらほんの少しの時間。
でも、見つめ合ったままの状態に。
緊張して息の仕方を忘れてしまいそうになる。
引きつったままのあたしの顔を見て、フッと笑って視線を逸らしたのは海斗が先で。
『このケーキ、母親の手作り。いらないって言ってもこうやって毎年作るんだ』
迷惑、と息を吐く彼だけど、その瞳はどこか優しい。
綺麗にデコレーションされたケーキを見つめて。
このケーキを作った海斗のお母さんは、きっと素敵な人なんだと思う。
迷惑なんて言って、そのケーキを食べる海斗は優しい人なんだと思う。
『……嘘じゃなかったんだ』
『何が?』
『…うん、誕生日って嘘じゃなかったんだなって思って』
思わず出てしまった言葉。
『何? 嘘だと思った?』
『……女の子を連れ込む口実かと』
そこまで言って、慌てて口許を押さえたけれど遅かった。
『ふーん』
しっかりと聞こえてしまったらしく、持っていたフォークを置いて。
あたしを真っ直ぐ見据える。
少し冷めた瞳。
雰囲気ががらりと変わってしまったことに戸惑う。