俺様彼氏はShy Boy?
「…あんな顔、久しぶりに見たかも」
偉そうにふんぞり返って座る海斗の隣には、制服を着た女の子がいて。
その子に向って優しい笑顔を作る彼の姿を、あたしはずっと眺めていた。
綺麗な女の子。
美佳やその取り巻きたちとは違って。
少し明るめのツヤツヤの長い髪を一つに結んで。
その髪が風にサラサラとなびく。
見ているだけで、柔らかさそうでいい香りがしそうだった。
キレイに着た制服。
オシャレな感じのメガネが似合ってて、
そのメガネの下の瞳が優しくて。
その瞳で、海斗を見つめてた。
清楚な感じの彼女に見つめられて、海斗は少しテレたように微笑んで。
こんなふうに笑う海斗を、久しぶりに見た気がする。
「もう、海斗の隣はあたしの場所じゃないんだね…」
手放したのはあたしなのに。
海斗を信じれなくて、彼を疑って逃げ出したのはあたしなのに。
「…い、たいな……」
ぎゅっと胸のあたりを掴んで、そのままうずくまる。
痛い、よ…
胸が痛くて、苦しくて…
息が出来ない。