俺様彼氏はShy Boy?


「帰るか」


気がつけば夕日はほとんど沈んでしまって、薄暗い闇があたりを包み込んでいた。


不意に差し出された右手。

その手を取ることに、ほんの少し躊躇してしまう。

なかなか手を繋ごうとしないあたしの手を、少し強引に掴んだ海斗は。

何も言わずに、非常階段を下りはじめた。


カンカンカン…


静かな宵闇の中。

その音だけが響いていた。


昼間も、今みたいに海斗に手を引かれて歩いたけれど。

今度はさっきと全然違う。


海斗の歩調が、あたしの歩調に合わせてくれてるのがわかるんだ。

引きずられるように歩いた文化祭は、目の前は海斗の背中しかなくて。

その背中を見て、泣いてしまいそうだった。


でも今は…

あたしの隣に、海斗が並んで歩いてくれる。

あたしの左側には、海斗の温もりがある。


少しだけチラリと海斗を盗み見したつもりなのに。

海斗の視線とピタリと合った。


それって、海斗もあたしのことを見ててくれたってことでしょ?


< 441 / 479 >

この作品をシェア

pagetop