俺様彼氏はShy Boy?
「帰るか」
気がつけば夕日はほとんど沈んでしまって、薄暗い闇があたりを包み込んでいた。
不意に差し出された右手。
その手を取ることに、ほんの少し躊躇してしまう。
なかなか手を繋ごうとしないあたしの手を、少し強引に掴んだ海斗は。
何も言わずに、非常階段を下りはじめた。
カンカンカン…
静かな宵闇の中。
その音だけが響いていた。
昼間も、今みたいに海斗に手を引かれて歩いたけれど。
今度はさっきと全然違う。
海斗の歩調が、あたしの歩調に合わせてくれてるのがわかるんだ。
引きずられるように歩いた文化祭は、目の前は海斗の背中しかなくて。
その背中を見て、泣いてしまいそうだった。
でも今は…
あたしの隣に、海斗が並んで歩いてくれる。
あたしの左側には、海斗の温もりがある。
少しだけチラリと海斗を盗み見したつもりなのに。
海斗の視線とピタリと合った。
それって、海斗もあたしのことを見ててくれたってことでしょ?