俺様彼氏はShy Boy?


「充に、色目使うな」

「なっ…」


何言ってるの? というより先に、塞がれた唇。

不意なキスに大人しくなると、海斗の唇はそのまま耳元まで降りてきて。


「比奈は俺のだって言っただろ?」


だから、俺以外に触れさせるな…と。

不機嫌な表情からは想像できないほど、甘い声で囁く。


「で、俺は帰るけど?」


半分腰砕けだったあたしとは正反対で。

何もなかったかのように平然としてる海斗は。

今度は、一人でスタスタと歩き出す。


展開が速すぎて、まったくついていけない自分がいた。


「か、海斗!?」


まったく振り返らず歩いていってしまう海斗を慌てて追いかけて。

なんとか隣に並ぶ。

横から見える海斗の表情は、やっぱりいつもの海斗で困惑してしまう。


……意味がわからない。


振り回されてる現状になんだか納得できなくて。

なんでもないような顔してる海斗にイライラしてくる。


「……意味わかんない」


呟く声はとても小さい。


「…ムカつく」


だから、海斗には聞こえてないのかもしれない。

膨れっ面になるあたし。

聞こえてないはずなのに、ニヤリと口角を上げる。

その顔がまたカッコいいから……


「ムカつく!」


かっこよすぎて、ホント…イライラする。


< 92 / 479 >

この作品をシェア

pagetop