よるのむこうに
なし崩しに別れられず、そのまま続いていた私達の生活が間違っていたのだ。
このままじゃ私達は共倒れになる。しかも、私が天馬の重石(おもし)になっての共倒れ。
私のほうが年上なんだから、私が自分の意思で天馬を背負うのはいい。ずっとそうしてきた。でもこれは駄目だ。
心がぽっきりと折れて、仕事も何もかも失った私の最後のプライドまでずたずただ。
「だから別れようって言ったんでしょ、私のことなんか少しも好きじゃなかったくせにこんな事しないでよ……!」
「お前……」
天馬はぎゅっと眉間の皺を深くした。
今度こそ終わりだ。
こんな終わり方をしたくなかったから別れようと言ったのだ。クソ天馬、今さらなんなのよ。
「俺も最初はお前なんか少しも好きじゃなかった。嫌いでもなかったけど」
天馬は私の傍まで戻ってきて私の顎をつかんだ。
「けどさ、お前まで俺から逃げるのかって思った瞬間、今度こそマジで死ぬって思ったんだ。二年って……案外、重いのな」
死ぬ。
彼らしからぬその言葉の重みに、私は何も言えなかった。
「お前がいなくなったら、俺、マジでどっちを向いて生きたらいいのかわかんねーよ。
何を食うとかどこに行くとか、全部お前が決めてきたのに……いまさら手を離されたってどこにも行きたくねえよ」
「そ、そんなの……自分で決めなよ……私に会うまではそうして生きてきたんでしょ」
天馬は情けない表情を浮かべて自身の額に手を当てた。