よるのむこうに
そう言われてしまうと私もうまくは説明できない。
「え……?
だから、ご飯は私のために作ってて、天馬も食べてるけど結局は私のためで、だから普通に二人分作るけど、でも借金は違うでしょ……。
天馬は車、要らないじゃない」
「いや普通に要るだろ。
旅行も行きたいけど、それよりお前の通院どうするんだよ。俺が背負っていくのかよ、このクソ暑い中をよ」
今までどおり電車で通院を続けることに何の疑問も抱いていなかった私は、天馬がそんなつもりでいることを少しも知らなかった。
「いや、背負えとまでは……」
「じゃあ俺のためだろ、俺が楽なんだから」
「え、だから、それは……んん……?
あ、じゃあお金は私が半分払うべきじゃない?私が病気じゃなかったら車はいらなかったでしょう」
天馬はそれを聞いて肩をすくめた。
「俺はそこはどっちでもいいけど彰久が駄目って言ってるから駄目なんじゃん?俺が給料から返すって約束で借りたし他に借りるあてはねえしな」
「あー……そっか……なるほど……」
彰久くんはだから私にも電話をかけてきて立替払いは認めないと言ったのだ。
私の言うこともすべて予想しているのだ。最初はきれいで親切な子というそれだけだった彰久君の印象はどこか狡猾(こうかつ)なものに変わっていった。
あの子の手のひらの上で私達二人が転がされているみたいだ。