背伸びして、キス


「覚え早いね」

「本当ですか?でも、まだメニュー全部覚えきれてなくて」



時東さんに褒められ嬉しくなる。
できることが増えていくのは嬉しいし、慣れてくると楽しく思える。



「クリスマスのためにお金を貯めてるの?」

「え、あ・・・。それだけってわけじゃ・・・。あの、お返しをしたくて」

「お返し?」

「はい。いろいろもらってばかりなので」




それに、給料日は毎月の25日だし。
初バイト料はクリスマス過ぎちゃうしね。

クリスマスは、今までのお小遣いで・・・。



「一華ちゃんって、彼氏いるの?」

「えっ、・・・あ、・・・はい」




咄嗟に戸惑ったけど、嘘をつくのもおかしいし正直にそう答えた。
彼氏って響き、いまだに落ち着かない。



「残念。俺、狙ってたんだけどな」

「え?な、なに言ってるんですか」

「本気だよ。でも、結婚してるわけじゃないし、奪っちゃうのもありだよね?」

「だ、ダメですよ!」



やっぱ、時東さんチャラい人だ!
慣れてる感じが伝わってくるし。



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