背伸びして、キス


指摘にハッとして恥ずかしくなる。
結構汗かきな私は、確かに汗をかいている。

拭いてはいたけど、拭いた後から汗は滲んで。



恥ずかしすぎる。
やっぱり、涼しいところで待っていればよかった。


今日は、いつも以上に暑い日だ。
夏が思いやられる。



「あ、あの。―――か、カフェに行きませんか?」

「・・・は?」





思わず、そう言っていた。
どうせ飲み物を飲むならカフェに行きたい。




「カフェならいろいろ知ってるんです。私、カフェとか好きでその・・・」

「いってどうすんの?今日は、ハンカチを返してもらいに来たんだけど」

「え・・・あ、そうですよね・・・すみません」



調子に乗ってしまった。
一条さんにとっては、私との出会いなんて別に続けたいと思うようなものではなくて。
だって、私は高校生で、子どもで・・・ガキで。




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