わたくし、愛しの王太子様に嫁ぎますっ!

レナードは令嬢に囲まれているアベル王太子を見た。

彼のお相手を探すことは、このパーティでの楽しみの一つである。

お世辞と策略がはびこり人の下心が見える社交の場、このくらいしか楽しみがない。

だが、今は・・・とリリアンヌに視線を戻す。

まるで今日が社交デビューですと言わんばかりの王女の初々しい様子に、興味の対象が一つ増えていた。

この誰にも汚されていないまっさらな心を自分色に染めたいと思う。

他の令嬢は甘い言葉をささやきながらキスの一つもすれば簡単に手に落ちる。

リリアンヌは、どうだろうか。

このあと人気のないところに誘い、唇を奪う計画を算段する。

自分は大国の王太子、小さな国の王女など手玉に取るのは簡単なことだ。

曲が終わり互いに礼を取ると独身の貴公子たちがリリアンヌに群がり、レナード自身にも令嬢たちが傍に寄って来た。

その中に昨年唇を奪い、そのままベッドを共にした令嬢の姿もある。

虫も殺さぬ顔をしているくせに随分情熱的だったから覚えている。

ひとまずリリアンヌのことは置いておき、熱のこもった視線を向けてくるその令嬢の手を取り、レナードはダンスの相手をした。






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