Where it is stuckー滞っている場所ー
「平子さん、何にしますか?」ああ、そうか、と平子は少し驚いたように見せた。


平子は、麻婆丼を頼むと、りーさんは軽く礼をし、調理場に向かった。


「そういえば、さっき望月さん、何で思い出せなかったんですか?」天音は、メニューを見ながら望月に言った。


「ん?なんのこと?ってか、まだ頼むの?」


望月は少しとぼけた様子で天音に言った。


「さっきのですよ。女の人にナンパしたかってやつ。てか、頼みませんよ。見てるだけです。」


天音は、少し笑いながら言った


ああ、と望月は椅子に座り直しながら答えた。


「うーん、それが思い出せないんだよ」


望月は、腕を組んだ。


その会話を聞いていた平子は、呆れた様子でため息をついた。


それを見た望月は、気まずそうに言い訳を始めた。


「き、昨日は、いろんな人に声をかけたから、、、」


「だから覚えていないってのか?」秋鹿の横から高崎が意地悪な声を出した。


それを望月はふんと鼻で笑うと「うるせえ」高崎の顔をちゃんと見ながら言い返した。


二人の間に挟まれている秋鹿は、少し気まずそうだ。


「まあでも、あちらは殺人の容疑をかけられているわけですから、ちゃんと思い出してあげないと」


望月はそうだな、と、秋鹿の助言に素直に頷いた。高崎も、秋鹿の言葉には、同意せざるを得ない様子だ。

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