あの頃ラッキーストライクと彼のレビュー一覧
あの頃は特別だった。でも今は違う。手にしたラッキーストライク。漂う煙には、きっとかけがえのない青春のあの頃が見えているんだろう。 曖昧で不安定で、でもその独特な雰囲気が私たちを包むんです。この空気感、凄い。白黒のテレビを見ているみたいだと思いながら、深い青色のような気もする。そんな物語。 いつか今日のことを思い出すとき、私はなにを思うだろう。そのとき隣には、今いる人たちがいるだろうか。深く考えさせられました。ぜひ一度読んでいただきたいです。この空気感、感じてください。
きっとこのような時代のことを言うのだと思う 誰もが未来に対して漠然とした不安や 根拠のない希望を持っていて それはきっとどの時代も変わらないけれど この小説のこの時代に流れる雰囲気が、匂いが、時間が 私はとても好きになりました。 昭和生まれの方々は勿論、私と同じく平成生まれの方もぜひ!
人の記憶は五感と深い関係にあるらしい。 例えば視覚。 あの頃同じ景色を眺めていた。 例えば聴覚。 あの頃同じ波の音を聴いていた。 例えば味覚。 あの頃覚えた煙草の味も。 例えば嗅覚。 あの頃から絡みつくのは煙草の匂い。 そして触覚。 ともに分かち合った痛み。 時が経ってもいつまでも色褪せないでいるのは、記憶とそれらが深く結びついているからだ。 あの頃ラッキーストライクと。 いつもそばにいた彼のこと。
過ぎ去った日々は戻らない。時間を巻き戻すことはできない。大人になって、世間を知って、あの時あーしておけばとタバコを吹かしながら昔に思いを馳せてみても、あの頃に戻ることはできない。 だからこそいまの自分がある。 だからこそ、いまこの時を大切に生きていかなければならない。 そんなことを考えさせられる短編でした。読むほどに味のある作品です。打ち寄せる波の音とともに、昔の記憶が蘇ります。 ぜひご一読を。