夫の教えるA~Z
「ああ、トーコ」

半身を起こし、お口を “あーん” していた彼は、私の姿を見るとすぐに傍らのナースをぐいっと引き離した。

お食事中、だったようだ。

急に退けられた彼女は、スプーンを持ったままムッとしている。

彼はというと悪びれる様子もなく、戸口で固まっている我々に、オイデオイデと手招きしている。


「……はっ!」

先に我に返った師長さんが、ヅカヅカと中に踏み込んだ。

「あ、アア、アリガシラさんっ。
ちょっとアンタ達、何やってるのっ‼」

「え―……何ってぇ、言われてもぉ…」

スプーンをクルクル回しながら、彼女はペロリと舌をだした。



「アキちゃん、まったね~♥」
「またね~」

師長さんに引き摺られながら、とにかく明るい黒ギャル系ナース、アリガシラユウナは去っていった。
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