夫の教えるA~Z
2人きりになった病室。

「アキトサン…
ワタシ、カエッテモイイデスカ?」

「まあまあ…」
彼は、未だ凍ったままの私を引き寄せてベッド脇へと座らせた。

「いやぁ、ハハハ…
しかし最近の病院はスゴいな。
食事の介助サービスまでしてくれるらしいぞ」

空々しい!

「……にしても、救急車で運ばれた割にずい分とお元気そうじゃないですか」

彼に頭をナデナデされて、アッサリ解凍された私がピリリと皮肉を効かせると、

「……それより君、随分遅かったじゃないか。
なんか下の方でエライ騒ぎがあったみたいだけど……
まさかお前、関係ないよなぁ?」

彼はそれを軽く受け流し、すかさず切り返す。

うっ…

「ももも、もちろんですトモ」

こいつはエスパーなのか⁉

「へ~………ならいいけど
俺はてっきり、また君が俺と誰かを間違えて抱き合ったりしてたんじゃないかと…」

「まま、まさか、私が?
アナタ様を他人と間違えるなど、とんでもない!」

しどろもどろに答えた私をさも疑わしそうに一瞥する彼に、私は笑って誤魔化した。

「…ふーん」


あ、アブなかった。

何か釈然としないけど、今日のところはイーブン(引き分け)としておこう。
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