夫の教えるA~Z
「ダンナさんね、2針縫っただけ。
ピンピンしてますよ。
全く、大袈裟なんだから」

そうこうしているうちにやってきた回診のドクターが、半ば呆れ顔で言った。
見習い看護師のユウナちゃんが、後ろで手を振っている。


「「はあ…」」

……恥ずかしい。

(ちょっと、アキトさん)
赤面して俯きつつ、グイグイッと彼を肘で押す。 

(うっさいな、血とか苦手なんだよ)

バツが悪げにプイッと横を向く彼。



「それよりもね、奥さん
寧ろ問題は別のとこ。
相当疲れが溜まってるみたいよ、ダンナ」

診察を終えたドクターは、
“ついでにあちこち検査しといたから”
と、検査結果を渡してくれた。

「え…」

見れば確かにイエローゾーンの数値が3、4つ。

「ね?色々と出てるでしょ。
ダンナさんくらい年齢だと多いのよ。働き盛りで忙しいし、なまじ元気だもんだから、無理しちゃうんだね。
まあ、奥さんも気を付けたげて。
幸いベッドも空いてるし、明日には抜糸するから…今日くらいユックリしていきな」

“ま、俺もヒトのことは言えんけど?”
“やだ~、先生はいっつもサボってばっかじゃないですか~”
“……お前もな”
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