夫の教えるA~Z
「今日の昼のコト。
だからって、歳上の…仕事仲間に、あんな風に言っちゃダメです」

彼の片眉が神経質にピクッと動いた。

「何でだよ?
能無しのアイツはなあ、自分のやるべき仕事もせずに逆恨みして来たんだぞ?
その上君を…」

私は首を横に振った。

「ううん。
確かにアナタは何でも出来る。
だけど、皆がそんな人ばっかりじゃないんです。頑張っても出来ない人だっているわけで…」

フン、と鼻で笑う。
「君に何が分かるんだよ、そもそもアイツは…」

「心配なのっ!」
珍しく声を荒げた私に、彼は黙った。

「心配してるの、アナタのコトを。
身体の限界まで無理して無茶して、時には強引に事を進めて……
そのうちにはきっと、着いていけずに置いていかれるヒトだっている…

もしその時、今日みたいな酷い言葉を投げて切り捨ててたら。
その人達はきっとあなたを妬んで…恨むわ。

頑張った挙げ句、たくさんのヒトに恨まれたあなたが……そのうち……」
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