夫の教えるA~Z
「ハハハ…ウソウソ。
……そうだな。
近頃ちょっと…調子に乗りすぎてたな」

揺さぶりを止め、抱いた手にギュッと力を込めた。

「……ありがとう。
今日は君に、教えてもらったな」

「…うん」

彼の腕に、私はそっと自分の両手を添えた。


人は。

一体、ひとたび手に入れた温もりを喪う事に、果して耐えられるものだろうか。

それを喪うかも知れないという恐怖は、

ひょっとしたら。

“愛している” という気持ちより

ずっと大きいのかも知れない。



結婚して8ヶ月とちょっと。
早くも彼の存在は、私にとって不可欠になっている___

(N おわ………
らない)



✴ーーーーーーーーー

-おまけ-

午後10時。

すっかり長居してしまった私は、部屋の時計を見て慌てて立ち上がった。

「あ、いけない。そろそろ面会時間が終わっちゃう。私、帰りますね」

「待て」
「い?」
私のスカートの裾を、彼の手がグイッと掴んだ。
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