夫の教えるA~Z
結局___

「ハーイ、大神さん。電気消しますよ~……おやまあ、早いのね」

「ぐ~~…」

_パチッ_

消灯の見回りに来た看護師さんが、部屋の電気を消していった。

気配が消えたと同時に、フトンの中に隠れていた私は、モゾモゾと這い上がる。

「……病院のベッドに大人2人なんて、やっぱりセマイですよ。
私、落っこちちゃう…」

「大丈夫。落とさないようにしっかり抱っこしとくから」

私をクルリと包むと、自分の懐に丸めこんだ。
今にも落っこちそうな私は、仕方なしに彼にしがみいて目を閉じる。

しかし……

「………」
「………」

(……ちょっと…っ)

ある程度予感はしていたが。

(ちょっと、アキトさんっ)

さっきから彼の手が、あらぬところをまさぐっている。

「もう、止めてくださいよっ……ぁ…」

バッと起き上がり、私は彼に抗議した。

(しっ、静かに。怪しまれるだろ)

じゃない!

(あなたがさっきから……ゴソゴソするからじゃないですか)

(う~ん、だって…セマイし)

言いながら、彼はスッと人指し指で背筋をなぞった。

(きゃっ…も~、家じゃないんだから…)

「ふふふ、たまにはスリルあっていいな。こういうのも」

冗談じゃない!
しれっと言ってのけた彼を、私はギロリと睨み付けた。

傷口、肘でグリグリしたろかい。

軽い殺意を覚えながら、私は寝返りを打って彼に背を向けた。

「私はそんなシュミ、ないですから…わっ」
「おっと」

床に落ちかけた私を抱き止めて、耳元にフッと息をかけた。

「ああっ…」

(トーコ、ダメじゃないか。そんな大きな声を出したら)
困ったように嗜めた後、

(もっとイジめたくなるし)

艶っぽい声で、とんでもないコトを言ってのけた。

「ば、バカなコトは……やめっ…」

(前に言ったじゃないか、このレギンスってヤツ、嫌いだってさ)
「やー、お願いっ止めて…」

私を覆う布を、ツルリと剥ごうとする彼にギュウッと前側押さえて抵抗する私。

(ふっふっふ…イヤだと言われると、ますますやりたくなる……)

「ホンとに止めてっ…」
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