夫の教えるA~Z
狭いベッドで、ジタバタ暴れていた時だった。


ガララッ。


「!……」
「………」

「んんん~?何か声がした気がするけど…」

ドアを引く音と共に、騒ぎを聞き付けて見張りがやって来た気配。
先程の看護師さんが、暗闇に目を光らせているようだ。

彼女はひとしきり部屋を見回すと、この区画のカーテンをジャッと開けた。

「……ぐ~~…」

(うぐぐっ…)

眩しい。
彼女の懐中電灯が私達を照らしている。

「………気のせいか」

暫く彼を見下ろしていた彼女は、やがて懐中電灯を下ろすと、ノッシノッシと去っていった。

(うう…セマイよぉ、息苦しいよぉ……)
(よし、行ったぞ)

チョイチョイと指の合図に、私はモゾモゾと彼の上に顔を出す。

「ぷあっ」
新鮮な空気を目一杯肺に吸い込む。

さっきまで、彼の脚の間に隠れていたのだ。
ハッキリ言って、リアルにツラい!


彼はハハハと苦笑いし、私の頭を軽く撫でた。

「…そろそろ寝よっか?」

私は涙目に彼を睨むと、大きくコクン頷いた。
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