夫の教えるA~Z
「ううっ……」

サムいっ。

衝動的に飛び出してはきたものの。

いくら南国とはいえ、12月末の寒空に部屋着同然の姿で飛び出してしまった私は、吹きすさぶ寒風に、ぎゅっと身を縮めた。


ここは博多駅。


こういう場合はやはり実家だろうとは母に電話をしたのだが……



「あら~トーコじゃない。どうしたの?」
「えーと、その。母ちゃん元気かなって……」

中々言い出しにくいものだ。

何気ない世間話を2、3したあと、私はいよいよ本題を切りだそうとした。

「母ちゃん、あの……」

「あ、そうそう。アンタらね、正月こっち帰ってこなくていいからね」

「え……な、なんで?」


いきなり、先手をとられた。

「それがねぇ、ンフフッ」

私の動揺を気にする風もなく、母は上機嫌に語り始める……


「ええっ‼沖縄⁉」
「そ!当たっちゃったのよね~、ユリちゃん(義姉)の雑誌の懸賞!」

言いたくてウズウズしていたのだろう、それからも彼女は弾丸のように話し続けた。

そして……

「あらいけない、父ちゃん帰ってきたわ。じゃ、そういうコトで。
年末はうちに誰もいないからね~~」

ツー、ツー……


アッサリと電話は切れた。
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