夫の教えるA~Z
元々、結婚前の私たちは恋人ではなく、ただの上司と部下だった。

彼は別に、私じゃなくったって良かったのかも知れない。

彼が私にプロポーズしたのは、たまたま結婚する必要があった時に、身近にいただけのことだったのかかもしれない。

現に彼は、晩御飯がトーコ特性もんじゃ焼きじゃなくったって構わない。

洗濯物が、トーコ厳選自然石鹸で洗われてなくったって構わない。

もう1ヶ月近く、スキンシップはおろか会話すらまともにできてない…

そうだ。
性欲処理ですら、私でなくたって構わない……のかもしれない。

そんなネガティブ思考ばかりが、頭の中をぐるぐる回った。



「……まあ、
父さんと母さんには私から言っといたげるから。今日はここでユックリしていくといいわ。
任せなさい!」

夏子さんがドンと胸を叩いて、私はハッと我に返った。

「あ、ありがとう。
でも……やっぱり私、帰ります。
家の鍵も開けっぱなしだし…」


話を聞いてもらったからか、気分が少し落ち着いた。

バカなコトはもうやめよう。
痴話喧嘩で、彼女にメイワクはかけられない。

それに……

帰って私が居なければ、
彼はきっと、寂しがるから。


夏子さんに頭を下げると、私はコタツから立ち上がった。

が……
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