夫の教えるA~Z
その夜は、彼のお父さんとお母さん、夏子さんと賑やかな食卓を囲んだ。

こんなのって久しぶり……

もともと賑やかしいのが好きな私は、たくさん笑ってたくさん喋った。

夏子姉さんがなんと説明したのか知らないが、彼の両親はとても優しくしてくれて、その分彼は悪者になった。

「ったく、許せねえなアイツは。いっちょヤキ入れたるか」

消防士のお父さんが、ポーズをキメて腕の筋肉を見せつける。

それを見ながら、たおやかに微笑んだお母さんは、私の方を向き直って、のんびりと言った。

「あのね、トーコちゃん。
あのコを大事にしてくれるのは嬉しいけど。
無理はしないのよ?

我慢しすぎるとね、きっといつか爆発して、取り返しがつかなくなるから。
定期的に、ね…」

彼女が意味ありげに目配せすると、肉体を誇っていた彼女の夫は途端にシュルシュルと萎んだ。
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