夫の教えるA~Z
「ここがアキトの部屋。
内鍵もかかるから、好きに使って?」

食事とオフロを終えると夏子姉さんは、私を案内してくれた。

ワンピースの部屋着と下着(未使用)は姉さんのもの。ブカブカで、ちょっぴりスースーする。

渡されたフトンをベッドに降ろし、フーッと一息ついているうちに、彼女はスッと黙って出ていった。

一人になりたいだろうって、
気を遣ってくれたんだ。

強気に見えるけど、実は彼女、とても細やかな気配りさんだ。

本人は怒るかもしれないけど、アキトさんに少し似ている。


返して貰ったバッグの中には、ケータイはやはり見当たらなかった。
彼女が持っているのだろう。

まあいい。

彼女のいう通り、あればきっと彼からの着信を何度も確かめて辛くなる。


私は、ボンヤリとさっきの彼の両親の姿を思い出していた。

フーフって…不思議だ。 

端からみれば淑やかそうなお母さんに、強そうなお父さんだが…

長い2人の時間の間には、イロイロあるのかも知れない。

私はどうなんだろう。

さしたる覚悟もないままに、勢いで結婚した私。

本当に
これから、長い時を歩んでいけるんだろうか___



『我慢してたら、ダメになるよ』
『取り返しがつかなくなるから…』


…そういうものなのかもしれない。
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