夫の教えるA~Z
「キャッッフ~~~!!!
晴れ渡る空、真っ白なゲレンデ。
そして私は氷の女王」

「……止めなさいトーコ。ダンナサマは恥ずかしい」
「ふぎゃっ」

 ゲレンデを前にした途端、クルクルと踊りはしゃぐ私を秋人さんは押さえつけた。


 週末。
 私達は暗いうちから車を走らせ、某H県の、とあるスキー場へやって来ていた。

「凄いですよ~、ココ。
 宿泊に温泉、ナゼか美術館まであるんですって」
「ああ、何でもオーナーの創業者が美術館の蒐集家だったらしいよ?」

「へぇ…詳しいんですね」
 私はあまり興味ないが、彼の愛読本は専らマネー・経済誌だ。

 ウェアから何から全てをレンタルする予定の私達は、途中で男女別に別れた。

 係員の案内に従いつつ、順次グッズを身に付け終わると、まだ出てこない彼を待つ。

……遅いな。
 早く行きたいのに。

 窓からゲレンデを見つめながら、イライラし始めた時だった。
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