夫の教えるA~Z
 アクシデントはあったものの。
 あのショッキングな一滑りであっさりとコツを掴んだ彼。
 その後は私のサポートなど全く必要せず、午後ともなればすっかり小技までもマスターしてしまった。
 1日が終わる頃にはすっかり私よりも上手になり、ゲレンデの女性陣を沸かせるに至った。
 さすが、モテそうなスポーツを習得しようとする意欲は半端でない。

 ……ムカつく。
 

 夜___

 併設の宿泊施設に泊まっている私達は、それぞれ別れてお風呂を頂いた後、夕食を終え、部屋で寛いでいた。

「うわ~、ツララ凄ーい。
 地面にくっついてますよ。2㍍はあるかなぁ……
 あ、折角だから、今からナイター行っちゃいます?コレって、滅多にないチャンスですよ」

 窓ガラスの曇りを拭い、雪景色をながめてはしゃぐ私に、彼は苦笑いで答えた。

「外は吹雪いてるよ。寒いし、第一遭難したくない。……それより」
 
 部屋に入るなり、敷いてくれていた和布団に寝転んでいた彼は、お行儀悪くゴロゴロとこちらへ転がってきた。
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