夫の教えるA~Z
男は、夏子さんが何か言う前に1人合点して騒ぎだしたそうだ。それから、急に目を丸くして、夏子さんをまじまじと見つめ出した。
特に、夏子さんの少し控えめの胸元を。

挙げ句。

「その…ちょっと失礼して」
何と男は、そこめがけて両手を伸ばし、思いっ切りボディタッチしてきた!

「なっ…なっ…」

あまりのことに硬直してしまった夏子さん。
ふに、ふに。
その膨らみを2、3度確かめ、男は再び騒ぎ出した。

「わ、わ、やっぱり本物だ!エエッ、何で?これって豊胸手術ですよね?!
一体、どういう心境の変化で?いつの間に…」

「何すんのよーーーーーーーーっ」

スパアンッッッ!!!

夏子さんの、胸元を押さえたまま繰り出したキックが、男の鳩尾に見事に決まった。

声すら出せず、男はその場にしゃがみこむ。

そこへ、"日本一間の悪い男"を自負するこの部屋の主、アキトさんが現れた。

「おーい、松田、そろそろ書類届いたか…って、姉ちゃん!?
え、松田。
お前一体何やってんだ?!」

「え、大神さんが二人いる???
え、お姉さん?!大神さんの?
エエエエエエエエエッッ!???」

男の正体は、北九州支社期待の新人、松田さんだったようだ。

錯乱する松田さんに、真っ赤になって胸元を押さえ、突っ立っている夏子さん。
それから、事態をさっぱり飲み込めないでいるアキトさん。
三人が三人とも混乱し、場は一時騒然となったという…
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