夫の教えるA~Z
「支社長、いえ大神さんの奥さんは、お姉さんとも仲良くしておられますよね?
何せ、2ケツで書類届けに来てくれるくらいですから。
どうか、どうかお願いします!いちど、お姉さんに会ってお話しする機会を僕に与えてくれませんか?
ボクを、おねーさんに紹介してください!」

えーーーー…

「つ、つまりそれは、このトーコに、そういった場をセッティングしてほしいと」

コクコクッ。
松田くんはきな目をキラキラと輝かせて、もげそうなくらい強く首を振っている。

えーーー、やっぱり、そういうことなんだーー。

コイツ…純朴ワンコ君にみえて、けっこう交渉事に強い。さてはかなりのタフ・ネゴシエーターとみた。
さすが、アキトさんに育てられているだけのことはある、

唸りながらも、私は彼を思いやってやる。

成り行きまかせ、いい加減がモットーのトーコにはよくわからないけれど、純真まっすぐな松田くんには、突如嵌まった恋煩いは、本当に、本当に辛いのだろう。

確かに、同情はする。
助けてあげたいのもやまやまだが…

私は、こないだ、夏子さんとランチした日の会話を思い出し、暗澹たる気持ちになった。

つまり、二人の話を統合するとですよ。
初対面の時点でさーあ?ふたりの気持ち、目一杯すれ違っちゃってるんだよねーーーー!!
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