夫の教えるA~Z
「何だキサマは……ナゼうちの様子を探ってた?」

 ぐりぐり。

 仁王立ちでボクを見下ろす大神支社長は、右手に女の子を猫の子のようにつまみ上げたまま、ボクの左大腿を革の靴で踏みつけている…

「イタイっ、イタイですっ」

 超冷ややかな眼差しで見下ろす彼に、ボクは憐れっぽく叫ぶ。

 すると彼は更に体重をかけ、酷薄な薄笑いを浮かべた。

「ぐわっ!」

「……しかも俺の目の前でヨメのオッ……いや。ムネを揉むとは、いい度胸してんじゃねえか。
 …マサカ…トーコのストーカー何じゃないだろうな?コラ」

「ちっ…違いますよぅ……」

 ギュウッと太腿に体重が掛かると、ゾクリと不思議な感覚が走った。

「じゃあ何だコラァ、とっとと吐きやがれ‼」
「ぎゃんっ」

 ハアハア…
 痛みに息が切れてきた。屈辱のせいか、頬が上気するのがわかる。
 あの一遍の情も感じられない目。

 ミジメだ。

 ボクは、貴方の為に来たっていうのに…
 涙が一筋、頬を伝う。
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