ツインクロス
「このチビ!俺達にタテつく気かァ?」
「ハハハッやめとけ、やめとけッ。坊ちゃんには百万年はえーぜッ」
無言でその場に立っている冬樹を『強敵』では無いと判断したのか、男達は馬鹿にした様子で冬樹に詰め寄った。
「今なら間に合うぜ。さっさとその金、こっちによこしなッ」
凄んで詰め寄られても、冬樹は冷静だった。
三人の男達の後ろで、解放された眼鏡の男がそろりと立ち上がり、今にも逃げようとしてこちらを伺っている。
「………」
冬樹はその一瞬を狙って、詰め寄ってくる男達の僅かな間を通すように素早くその男に財布を放り投げた。
「あっ…」
咄嗟にそれを受け取った眼鏡の男は、その瞬間…また男達の視線が自分へと戻り、青ざめた様子で固まってしまうが、
(行きなよっ)
冬樹が声に出さず、手振りで合図すると慌てて表通りへと駆け出した。
「あっ!!テメーッ西田!!」
あたふたと逃げていく眼鏡の男は、西田という名だったらしい。
男達は大事な金づるを逃して、一気に殺気立った。
「テメェ…ナメた真似しやがって…」
「俺達をバカにしたらどうなるか、思い知らせてやるぜッ」
「おっと!」
突然、路地から飛び出してきた男にぶつかりそうになって、ある人物は足を止めた。飛び出してきた眼鏡の男は、妙に慌てた様子で、頭だけ下げるとそのまま人混みの中へと駆けて行ってしまった。その様子を呆然と見送っていたが、ふと…その路地裏にまだ数人溜まっている事に気が付く。
雰囲気で察するに、何だか揉めている事だけは分かった。
(何だ?喧嘩…か?それともイジメ…?)
傍観しているうちに、いよいよ殴り合いへと発展する。どうやら一人の少年に対し、三人で取り囲んでいるようだ。
(何にしても3対1とは卑怯な…)
それも、一人で応戦している少年は、三人の男達に比べて随分可愛らしい感じの少年で…。
(いや、でもいい動きしてるな…)
ゴツイ男の重そうなパンチを上手く受け流すその動きはなかなかだ。だが…。
(ん…?あれは…)
その少年の顔がよく見えるようになって、思わず固まった。
(…冬樹…?冬樹じゃないのか?)
冬樹は、思いのほか苦戦していた。
ある意味、喧嘩慣れしている冬樹ではあるが、流石に自分よりひとまわりもふたまわりも大きな奴の力は半端ではなく。それが、三人相手とならば尚更だった。持ち前の瞬発力を発揮しようとも、狭い路地で三人に取り囲まれていてはどうしようもない。
「ハハハッやめとけ、やめとけッ。坊ちゃんには百万年はえーぜッ」
無言でその場に立っている冬樹を『強敵』では無いと判断したのか、男達は馬鹿にした様子で冬樹に詰め寄った。
「今なら間に合うぜ。さっさとその金、こっちによこしなッ」
凄んで詰め寄られても、冬樹は冷静だった。
三人の男達の後ろで、解放された眼鏡の男がそろりと立ち上がり、今にも逃げようとしてこちらを伺っている。
「………」
冬樹はその一瞬を狙って、詰め寄ってくる男達の僅かな間を通すように素早くその男に財布を放り投げた。
「あっ…」
咄嗟にそれを受け取った眼鏡の男は、その瞬間…また男達の視線が自分へと戻り、青ざめた様子で固まってしまうが、
(行きなよっ)
冬樹が声に出さず、手振りで合図すると慌てて表通りへと駆け出した。
「あっ!!テメーッ西田!!」
あたふたと逃げていく眼鏡の男は、西田という名だったらしい。
男達は大事な金づるを逃して、一気に殺気立った。
「テメェ…ナメた真似しやがって…」
「俺達をバカにしたらどうなるか、思い知らせてやるぜッ」
「おっと!」
突然、路地から飛び出してきた男にぶつかりそうになって、ある人物は足を止めた。飛び出してきた眼鏡の男は、妙に慌てた様子で、頭だけ下げるとそのまま人混みの中へと駆けて行ってしまった。その様子を呆然と見送っていたが、ふと…その路地裏にまだ数人溜まっている事に気が付く。
雰囲気で察するに、何だか揉めている事だけは分かった。
(何だ?喧嘩…か?それともイジメ…?)
傍観しているうちに、いよいよ殴り合いへと発展する。どうやら一人の少年に対し、三人で取り囲んでいるようだ。
(何にしても3対1とは卑怯な…)
それも、一人で応戦している少年は、三人の男達に比べて随分可愛らしい感じの少年で…。
(いや、でもいい動きしてるな…)
ゴツイ男の重そうなパンチを上手く受け流すその動きはなかなかだ。だが…。
(ん…?あれは…)
その少年の顔がよく見えるようになって、思わず固まった。
(…冬樹…?冬樹じゃないのか?)
冬樹は、思いのほか苦戦していた。
ある意味、喧嘩慣れしている冬樹ではあるが、流石に自分よりひとまわりもふたまわりも大きな奴の力は半端ではなく。それが、三人相手とならば尚更だった。持ち前の瞬発力を発揮しようとも、狭い路地で三人に取り囲まれていてはどうしようもない。