ぼっちな彼女と色魔な幽霊

「つうかさ」

「ん?」

「キス、うまかった?」

「……うわあああっ!忘れてたのに、なに言うのよ!」

のけぞって背中を壁に思い切りぶつける。

「いやお前がさっき言ったんだし」

「……」

ヨウはわたしを見つめるから、色々思い出して動悸が一気に速くなる。

「おにぎりなんかの為に、キスしない」

「えっ?」

「そういうんじゃないからな」

そう言うと、最後の一カケラを食べた。

どういう意味だろうと、考えて何も言えなくなる。なら、他に意味なんてあるの?

「作って当たり前なんだからな。選ぶ権利ないってこと」

「うわぁー、きた」と、相変わらずの偉そうな態度に拍子抜けした。

「まああんなんで良かったらいつでもしてやるよ?」

「はっ?」

「ひな子……あれみたいだからな。モグラ」

「……」

「知ってるか?
モグラって地上にたまに出てくるんだけど、地中と違って周りに触れるものがないから、中にはパニックになって死ぬ奴もいるんだって。
ひな子もそれみたいだよな。
かわいそすぎて慰めたくなるわ」

「やっぱり、おにぎり没収!」

「お前今日こそ、とり殺す」

恐怖の悲鳴がこだました。
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