ぼっちな彼女と色魔な幽霊
教室に戻り、頬杖をついた。四角い世界を切り取ったような遠くに浮かぶ空を見上げた。
教室の人間関係は食物連鎖のピラミッド。
小説の中で見つけた文章を見て、わたしは心が弾んだ。
わたしと同じことを思っている自分以外の誰かがいるんだということを、物語を通して教えてくれたことに感動した。
そうやって物語の中に身を落とし、共感や価値観の確認をしていれば、自分はちょっと大人で高尚だしと、強がっていられた。
こうやって力を抜いて、教室にいたことあったかな。
どれだけ本を読んだって、新しい価値観や考え方を学んだって、やっぱり人と人との関わり合いの中で自然とそれを学んで来た人が、わたしは心底羨ましい。
プレゼントだってそう。
ものなんかよりも、相手と関係性があるからもらうことが嬉しいんだってことくらい、どこかでわかっていた。
だから本当は、四角い空の広げかたを知っていた。
立ち上がり、顔を出せばいい。それだけなんだ。
それなのに、動くことなくただ空にどれだけ綺麗な言葉を飾り付ければ人の心は動くのだろうか、なんてことに夢中になったふりをしていたんだ。
『空がきれいですね』
本当は空を見て、そんな相手の言葉だけで他者を重んじり感動できるような、そんな人間になりたいのに。