毛布症候群
「冗談に決まってるじゃん」
「だってー、羊佑かわいそ」
「え、なんで俺が可哀相な流れになってんの?」
「じゃあね、自意識過剰な羊佑くん。学期末まで一位を堪能してください」
ひらりと掌を振って歩き始めた。校門を出たところでマオが溜息を吐く。
「……ありがと」
「怖いわあ、恋って盲目だわあ」
「口から出ちゃっただけ」
そういうとこだよ、と言われた。
「もうやめた方が良いかな?」
何が、と返されるのを承知で聞いた。マオはちょっと面倒そうな顔をして腕を組む。
「僕に言われて、硝子はやめられんの?」
きちんとその意図を汲み取ってくれていた。
マオの優しいところだ。