毛布症候群

天川先生のこと、羊佑のこと、マオのこと。

「とりあえず飲みなさい」

カップを飲み干した。御梶間先生はふむふむとノートにメモした文字を読んでいく。

「うまく付き合う方法を考えないとね」

「誰と?」

「自分と」

言われて、考える。爽やかな風を感じて今更窓が開いていたことに気付いた。

あたしは、あたしとうまく付き合っていなかったのか。

「夢を見るってことは、確かに他人の頭を覗く行為になるのかもしれないけれど、それがその人の全てじゃないからね。分からないなら、きちんと自分の言葉で尋ねることが大事」

「それ、マオにも前言われた」

「マオくんもきっと、いろんな壁を乗り越えてきたんだろうね」


< 107 / 113 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop