毛布症候群

窓から飛び降りる夢。

今まで自分でもそんなのみたことがない。
あんなに追い詰められる夢。

「マオは毒舌なんだけど、それって仲良くならないと聞けないんですよ」

「うん」

「マオが毒を吐けるひとってどれくらいいるんですかね」

「聞いてみれば?」

御梶間先生がノートをとじる。

あたしが最初に先生に会ったとき、そんな笑顔を見せたのを思い出した。

『神津硝子ちゃん? 話は聞いてます、こちらに座って』

『……はい』

『あなたの話を聞かせてくれる?』

中学生のとき、あたしは心を盛大に拗らせていた。
友達も作らず、家族ともあまり話をしない時間が多かった。

心配した両親が先生に連絡した。


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