無糖バニラ
「翼くん、朝ごはん食べれなかったって聞いたから、雑炊作ってきたんだけど、食べれるかな?」

「ありがとうございます、いただきます」


ふたりの会話が、くぐもって聞こえる。

翼は、寝転がったまま受け答えをしている。
そうじゃなきゃ、すぐにあたしの存在がバレてしまうから。


心臓の音が大きすぎて、よく分からない。

このドキドキは、きっとあたしのもの。

だって翼が、あたしのことで心音を乱すわけがない。


翼の服を、きゅっとつかむ。

ピクッと背中が反応した気がした。


熱い。

酸素が少ない。


甘い香りに、くらくらする。
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