無糖バニラ
隠したって、もう遅いよ。

ちゃんと見たから。笑顔。


「食いたいなら、お前少し食えば」

「いいの?」


机の上に置かれた、ひとり分の土鍋。
すぐそばには、受け皿とれんげ。
もちろん、ひとり分。


「いいよ、俺まだあんまり食欲ねーし」

「えっ、大丈夫!?」

「うわっ」


あたしは飛びつくように翼の額に手を当てる。


「そんなに熱高いの?だるい?気持ち悪い?洗面器とかいる?他になにか欲しいもの……」

「おい……」


翼にジト目で見られ、ハッと気づく。
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