無糖バニラ
――ガチャッ。


お店の扉が開く。


「あっ、いいにおーい」

「うん、おいしそうだね~」


声から察するに、女の子がふたり。
彼女たちからすればここは、店員すらいない無人のケーキ屋。


「てか、店の人いなくない?」

「奥の方にいるんじゃないの?」


本当は、すごく近くにいるけど。

あたしは変わらず、翼に口を塞がれ、肩を抱かれている。

よりによって鼻から下を塞ぐから、息苦しい。


「っ……!」


翼の手をつかんで、少し下にずらす。


「ふあ……っ」

「しー」


じゃ、ない!

何これ……!
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