無糖バニラ
小嶋くんは、鼻をヒクヒクさせて店内のにおいを嗅いだ。


「だからか。翼っていつも甘いにおいだから、女物の香水でも使ってんのかと思った」

「げっ」


嫌そうな顔で自分の服に鼻を近づける翼を横目に、


「だよね!翼いつも甘くていい香りするよね!あたし好きなん……」


前のめりで小嶋くんに同意を求め、隣から視線を感じて、ハッとした。

しまった。


「……なんでもない」


あたしは目をそらして、無かったことにする。

翼と小嶋くんの、怪訝そうな視線を同時に感じる。

気まずい。
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