無糖バニラ
翼、言ったよね。

ただの幼なじみじゃあ、そばにいる理由にはならないって。

それが、誰も納得しないのなら。

それなら、幼なじみ以上のあたしなら、翼のそばにいてもいい?


翼は、知らない間にもずっと守ってくれていた。

次は、あたしの番でしょ?


「よし、帰るね!」

「は?」


すくっと迷いなく立ち上がるあたしに、翼は怪訝(けげん)な表情を向ける。


「お前、空気読めよ。まだ話も終わってねーし」

「うん!」

「何、元気いっぱい返事してんだ」

「あたし、まだ小嶋くんの彼女なの。だから」


だから、ちゃんとしなきゃ。
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