無糖バニラ
逃げない。
逃げたくない!

今度こそ。

だから。


「あたしは――!」

「内海は悪くないよ」


目を閉じて、想いを叫ぼうとした時。

ガタンッと椅子を引く音が聞こえて、目を開けると小嶋くんが席を立っていた。


「俺たち、本当は付き合ってなかったし」


……え?

自然とまぶたが大きく開いて、視界が広がった。

目が合った先の小嶋くんは、笑っていた。
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